自分が好きだった人でも、自分を好きになられると気持ち悪い。
蛙化現象は、一番好きだった人が一番避けたい人に変わってしまう、とても辛い心理現象です。
この蛙化現象の原因については、このブログでも様々な点から考えていますが、蛙化現象を起こす人の心理状態については、大きく2つに分類することが出来ます。
蛙化現象の心理状態について、2つのパターンから理解を深めていきましょう。
目次
蛙化現象を2つの心理状態
蛙化現象の心理・原因については、最も一般的な説として
自分に自信がない・自己肯定感が低い
ということが挙げられます。
ただ、自信がない、自己肯定感が低いとは具体的にどのような心理現象になって現れるかによって、2つのパターンに分類することが出来ます。
その2つとは
「回避型」
と
「自己愛型」
です。
この2つについて順番に説明します。
「回避型」蛙化現象の心理
回避型の蛙化現象を起こす人の心理は、自己肯定感の低さによって、対人関係の中で自分に対する不安が生じやすく、他人と深い関係になることを極端に恐れているタイプです。
不安、不信感、恐怖心などが人より強く、とにかく「回避」する逃げグセがが付いてしまっている状態。
他人と深い関係を築けず、人との間に壁をつくって回避することで自分を保とうとしています。
「嫌われるかも知れない」「期待に答えられないかも知れない」「自分には出来る気がしない」といった不安が次々とうまれ、その不安の原因を相手に投影することで、相手のことが嫌いになってしまうのです。
・相手に過剰に期待されている気がする・自分の気持ちはまだ盛り上がっていないのに、相手から好き好きと迫られるのが辛い
・同性の友人に対しても、プライベートに深入りされたくない
・ネガティブ思考で「断る理由」ばかり考えてしまう
・責任を負いたくない
・自分で決めたくない
キーワード「返報性の呪い」
人間は、他人から優しくされる、好意を寄せられると「自分も同じだけお返ししなければ」と感じます。
心理学的には、これを「好意の返報性」と言います。
「親切にしてもらったから、自分も親切にする」
この好意の返報性によって、優しさの循環が生まれ、良好な関係を築いていくことが、理想的な社会と言えるでしょう。
しかし、自己肯定感が低い人は、「自分にはお返しする力なんて無い」「自分が与えられるものなんて無い」と考えてしまいがち。
このため、優しくされても「そんなに優しくされても、私は何もお返し出来ません」と感じてしまい、相手の優しさを「重い」「怖い」と拒否してしまいます。
この「返報性の呪い」によって、優しい人からの好意を受け入れられないのが、回避型蛙化現象の特徴です。
「自己愛型」蛙化現象の心理
自己愛型の蛙化現象を起こす人の心理は、自己肯定感の低さが他人への攻撃性として現れているタイプです。
表面上は他人に流されず、自分を持っているように見えて、深層心理では自己肯定感が低く自分のことが嫌い。
その代償として、他人を見下すことで自分を保とうとしています。
いびつに肥大した自己愛によって、他人と対等な関係を築くことが出来す、出会った人を無意識のうちに「自分より上か下か」に分類するクセが付いてしまっている状態。
落ち着いていて大人っぽいと思っていた人が、自分に好意を向けて接してくれる態度を、へりくだってご機嫌を取ろうとしているように感じてしまい、失望して見下してしまうのです
・結婚、恋愛に対する過剰な憧れ・デートに誘われたりLINEで世間話をするのが急激に面倒くさくなる
・優しくしてくれる相手を気持ち悪いと思ってしまう
・同性の友達や趣味が楽しくて恋愛は必要ないと納得してしまう
キーワード「ナルシシズムと他人軸」
自己愛とは「ナルシシズム」という呼び方の方が一般的です。
ナルシシズムに囚われたナルシストは、とにかく自分大好き、鏡で自分を見てウットリしているようなイメージがありますが、深層心理はその逆。
実はナルシストは自分が大嫌いで、自分を認められない、その反動として「世間から認められたくて仕方ない」という欲求を持っています。
ナルシストは鏡で自分ばかり見ているように見えて、実は自分と対比して見下す対象である他人に囚われているんです。
ナルシシズムに囚われた人の恋愛観は、「世間から認められたい」という”他人軸”な恋愛観。
だから、他人から認められたい、褒められたいという欲求が強く、恋人にも「世間から褒められる要素」を求めています。
自分だけは1mmも損したくないし、友達から羨ましがられる恋愛がしたい。
こういう肥大した自己愛によって、異性に対するイメージも歪んでいき、世間的には理想的な男性であっても、その人が自分のご機嫌を取ろうとへりくだってくると失望してしまうという、自己愛型の蛙化現象を起こしてしまうのです。
蛙化現象の心理は時間と経験が解決する?
蛙化現象の心理状態について、2つの分類で考えてみました。
蛙化現象を起こす人の心理は、「この2つのどちらか」という事ではなく、大抵の場合がどちらの要素も併せ持っています。
ただ、人によってそのバランスが違うということですね。
では、蛙化現象の具体的な克服方法は?
蛙化現象の克服方法について、確定的に有効な方法はまだ見つかっていません。
蛙化現象は心理学での研究もまだ進んでいませんが、個人的には軽いパーソナリティ障害の一種ではないかと思っています。
このため、蛙化現象も他のパーソナリティ障害と同じく、人生経験を積んで大人になるに従って、次第に落ち着いて解決することもあります。
蛙化現象を克服して結婚した人の体験談として「夫だけは何故か不思議と気持ち悪くならなかった」というケースがよくありますが、これは旦那さんがどういう人かという問題ではなくて、実は自分が成長したことによって気づかないうちに蛙化現象を克服しており、その時出会った人がたまたま旦那さんであったという場合がほとんどです。
逆に、年齢を重ねるほどに考え方が硬直して、さらに厄介になっていくケースも少なくありません。
(特に自己愛型はこの傾向が強い)
自分はなぜ悩んでいるのか?何が原因なのかを把握し、自分自身と向き合ってみましょう。
今回の記事がその助けになれば幸いです。